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タイタンの妖女 / カート・ヴォネガット・ジュニア 著 / 浅倉久志 訳

著者のヴォネガット氏の愛情に満ちたSF小説。
主人公のコンスタントを含む大勢の人間が、宇宙の彼方の星にいる者たちの意志によって、ある目的のために地球から太陽系の星々に流浪させられる。彼らは自分たちが操作されているとは知らずに、予定通りに起こる出来事に翻弄されて生きている。コンスタントほどではないが、すべての人類がそのように生きている。その様は意識的に生きているのか、無意識的に生きているのか、判別することが難しい。コンスタントら数人は、紆余曲折を経て、最後の終着地である土星の衛星・タイタンにたどり着く。(略)

タイタンの妖女 / 早川書房 / カート・ヴォネガット・ジュニア 著 / 浅倉久志 訳

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本書は、お笑い芸人の太田光氏がテレビで薦めていたことがあったので、興味を持った作品である。太田光氏は、この本に大変感銘を受け、自身が設立した事務所にタイタンと名付けたほどである。

本書は、SF小説の中でも、かなり荒唐無稽な物語の小説である。現実感のある小説を好む私にとっては、初めのうちは、読み進めるのが辛いところもあった。しかし、読み進めていくうちに、じょじょに物語に引き込まれていった。読み終えたときに感じたことは、作中、著者のヴォネガット氏の視線が一貫して優しかったように感じたことだ。大勢の人間が抗うことのできない出来事に翻弄される物語だが、その登場人物に対して著者は優しい視線を向けながら、この作品を書いていたのではないかと思った。著者の優しさや愛情が静かに伝わってくるような作品だった。

以下、ネタバレが含まれる内容を記述する。気になる人は読まないでください。

以下、印象に残ったところを抜粋。

≪晩年になり、老女が人生の様々な場面で関わり自分を振り回してきたコンスタントに対して、次のような言葉を吐く≫

『だれにとってもいちばん不幸なことがあるとしたら・・・それはだれにもなにごとにも利用されないことである。・・・わたしを利用してくれてありがとう。たとえ、わたしが利用されたがらなかったにしても。』

モノは利用されることによって、初めてモノに何らかの意味が生まれる。人が生きることも同じである。生きている時間を何かのために使おうとすることによって、人生に意味が生まれる。人との関わり合いも同じである。利用されたり利用することによって、自分にあるいは他者に意味が生まれる。そのように考えたとき、自分と関わる人たちに対して、普段とは違った気持ちを抱くことがある。自分と同じように利用されたり利用する存在である他者に対して、慈しみを抱き、優しい気持ちになれる。老女の言葉は、そんな気持ちにさせてくれる。

本書を読み終えたとき、きっと生きることや自由意思について、思慮をめぐらすことになるだろう。


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文章力の基本 / 阿部紘久 著

わかりやすい文章を書くための77のテクニックが紹介されている本。

文章力の基本 / 日本実業出版社 / 阿部紘久 著

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本書には、『わかりやすい文章を書くための77のテクニック』を社会人や学生が書いた豊富な文例とともに説明されている。企画書、報告書、小論文など文章にはたくさんの種類があるが、本書では特定の文章を対象としたものではなく、すべての文章に共通する基礎が説明されている。

本書から、テクニックの一つを引用しよう。

『因果関係をつかむ』

次は、原因を取り違えている例です。
【原文】
団塊の世代の退職などで今後老齢者人口が増加し、それに伴って医療費がかさむと懸念されている。

【改善】
団塊の世代が60代を迎えたので老齢者人口が増加し、それに伴って医療費がかさむと懸念されている。

実際には、「退職」と「高齢化」の間に因果関係はありません。原因は、「団塊の世代が60代になったこと」です。

本書は、このようにいくつか例文をあげて、改善点を指摘し解説するという流れになっている。紹介されているテクニックの中には、長年文章を書いてきた経験から納得できるテクニックがあったり、人によってはそんなテクニックは当たり前だと感じるテクニックがあるかもしれない。しかし、テクニックとして文章化され紹介されることで、頭の中が整理され、今後、より注意して文章を作ることができるようになるので、読んで損はないだろう。

すべてのテクニックを読み、すぐさまそれを実践するのは難しいので、テクニックを少しずつ消化しながら、実践で使っていけばよいだろう。また、77のテクニックからいくつかピックアップし、文章を書く際のチェック項目として、わかりやすい文章を書くための指針とするのものよいだろう。

さすがに、大学でも文章指導をされている著者の文章は非常に読みやすい。あまりに文章が完成されているので、どこか読みにくい文章はないかと、目を凝らして読んだくらいである。テクニックだけでなく、著者の文章を読むだけでも参考になるだろう。普段、わかりやすい文章が書けているのか不安がある人には、大変参考になる本だろう。


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論理パズル「出しっこ問題」傑作選―論理思考のトレーニング / 小野田博一 著

論理思考を鍛えるための論理パズル集。

論理パズル「出しっこ問題」傑作選―論理思考のトレーニング / 講談社 / 小野田博一 著

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本書には、著者のオリジナルの問題と古典問題の論理パズルが60問収録されている。収録されている論理パズルの問題文は、どれも暗記できるほど簡潔なものである。

参考に、本書に収録されている論理パズルを1つ紹介しよう。

【問題】
千佳、典子、あさみの3人がいます。このうち、真実を述べるのは1人だけです。
千佳 『典子はウソつきです』
この発言から何がわかるか?

解説は本書を読んでいただくとして、正解は、「あさみはウソつき」である。

本書を読んでいると、自分でも論理パズルを作りたくなる。一つ作ってみたので、時間のある方は挑戦してみてほしい。

【問題】
ルパン、次元、五右衛門の3人がいる。この3人は、善人か悪人のいづれかである。善人は真実を、悪人は嘘を述べる。
ルパン 『次元は嘘をついている』
次元 『五右衛門の発言を翻訳すると、「おれは悪人だ」と言っているようだ』
五右衛門 『おらおらおらああああああ(意味不明な叫び)』

ルパンは善人か悪人のどちらか?



【解答】
各人の発言を検討していく。

次元の発言
五右衛門が善人と仮定すると、「おれは悪人だ」という発言はおかしい。
なぜなら、五右衛門が善人の場合、真実を述べるからである。
五右衛門が悪人と仮定すると、「おれは悪人だ」という発言はおかしい。
なぜなら、五右衛門が悪人の場合、嘘を述べるからである。
よって、次元は嘘をついている。

五右衛門の発言
意味不明な発言なので検討しない。

ルパンの発言
ルパンと次元の発言を検討した結果、ルパンは真実を述べている。

真実を述べる者は善人である。よって、ルパンは善人である。

最初のうちは、解けない問題があるかもしれない。しかし、論理パズルは厳密に論理を積み重ねていけば、解ける問題である。論理の積み重ねの方法がわかってくると、すらすらと解けるようになるだろう。とは言っても、今まで論理力に自信がなかった方が本書を読むことで、すぐさま実践で役立つような論理力を身に付けることはできないだろう。本書から習得できるのは、厳密に考え抜こうという姿勢と理詰めで考える能力である。それは論理力の基礎である。実践で役立つような論理力は、その基礎の上に、状況に応じて使いこなすフレームワークや、より精度の高い論理を築くためにメタ認知的視点を身につけていかなければならない。
本書は、論理力の基礎に不安を感じている人、論理思考の入門者で論理の問題を探している人には、きっと良い本になるだろう。また、ただ単純に暇つぶしとしても、楽しむことができる本だ。


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主にノンフィクション系(ビジネス、科学、ドキュメンタリー)を読みます。小説も読みます。たまに映画も見ます。

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